映像制作会社や映像制作を仕事にしているフリーランスの多くは、東京ないしは東京近郊の3県在住であることが多いです。確かにこれまでは、そこに会社があったり、そこに住んだりすることには多くのメリットがありました。
でもこれからの未来では、そんなメリットが薄れていく可能性も十分に考えられます。/strong>
5Gの広まりでやり取りがスムーズになる
2020年、いよいよ本格的に5Gの商用サービスがスタートしました。5Gのサービス下では、4G通信サービスの20倍もの速度で通信が可能とされています。それだけ高速でデータ通信ができるようになれば、何かをダウンロードする時間、アップロードする時間を気にする必要はほぼなくなります。
映像制作においてもっともネックとなるのは、大容量のデータのやり取りでしょう。4Kでの数時間分の撮影を入れたデータとなれば、それをネット上でやり取りするのは厳しいこともありました。だから直接打ち合わせなどで、それが入ったHDDなどを手渡しすることもあったはずです。地方に住んでいたらそれが大変になる、あるいはスムーズにできないので、仕事を受けられないということもありました。
しかし今後はそんな大容量データもそこまで負担なくやり取り可能。そのため地方で活動していたとしても、今までよりもはるかに都内のクライアントからの仕事を受けやすくなるでしょう。
地方ならではのメリットも多い
地方には地方のメリットがあります。たとえば撮影のロケーション。首都圏での撮影では、撮影スポットは似たりよったりになります。しかし地方であれば、まだあまり使われていない隠れた撮影スポットもたくさんあるでしょう。
さらに、地方のクライアントもいます。地方のクライアントは、地元のクリエイターや会社の繋がりを大切にしてくれることも多く、5Gの時代になっても地方同士での仕事のやり取りが続く可能性は十分高いです。そのため地方の映像制作会社・フリーランスは、地元の仕事は地元の仕事で独占しつつ、さらに首都圏の仕事も受けられるようになっていくことが可能になったと考えられます。
また地方であれば、会社・事務所のための家賃コストも抑えられます。東京ではフリーランス用のちょっとした部屋であっても10万円以上はしてくることが多いです。しかし、地方であれば、半額以下程度で同クオリティのものを確保できるでしょう。
地方での映像制作デメリットは人の集めやすさだけ
近い未来、地方での映像制作は大きなデメリットが解消され、様々なメリットがより魅力的になります。しかし、一つ解消されないデメリットがあります。それが、人の少なさです。
たとえば広告動画に出てもらうタレントを集めようと思った時、やはり地方よりは東京の方が簡単に集められます。そればかりは解消されません。
編集を手伝ってくれる人は、フリーランスで集めれば問題ありません。通信が改善された未来であれば、東京に住んでいる人をネット上で探せば難なく集められるでしょう。ただ直接足を運んでもらわないとどうにもならないタレントやカメラマンなどはどうしようもありません。
それが地方で映像制作をする上での最大の課題でしょう。
それでも地方での映像制作の未来は明るい
確かに現状では人の少なさというデメリットもある地方での映像制作ですが、そんなデメリットを補ってなお余りあるほど、メリットが魅力的です。
そして最も大きなデメリットであった、通信環境のせいで東京の仕事を受けづらいというデメリットが解消されるわけですから、地方での映像制作の未来は明るいといえます。
編集などの外注できる部分よりも、地方では外注しづらい撮影などに力を入れていけば今後は、都内で仕事をするよりも大きな利益を上げられるようになる可能性も十分あるでしょう。
テキスト:ナインフィールド
ディレクター 北原 進也