ナレーションを意識しながら映像を見たことはありますか?
実は映像制作の完成度は、ナレーションによって左右されます。折角、美しい映像を作成してもイメージに合ったナレーターでは無かったり、声の質が落ちる方であっては作品が台無しになる事もあります。
ここでは、ナレーションの演出効果についてお話しします。
知的好奇心を刺激する
テレビ番組のナレーションを思い出してみて下さい。例えば、スィーツの紹介番組ならば、生クリームがトロ~リと出てくるシュークリームを、若い女性の声ではじけたような驚きの表現で紹介すると、聞いている人もワクワク感が刺激されます。一方、同じようにスィーツがテーマの番組でも、パティシエの匠の技や工夫の紹介ならば、低音の落ち着いた男性ナレーションだと、より聞き入って知的好奇心がそそられる感じになるでしょう。このように、ナレーションは番組のトーンやカラーと言われる、番組の雰囲気を作る上でとても重要な役割を果たしています。
なぜ、ナレーションが大切なのか?
ナレーションの大切さは、映像では説明しきれない解説を補うこともできます。例えば、ドラマで「あれから1年が経ち…」とナレーションを入れることで前のシーンからの時間経過を説明するようなことがよくあります。また、商品説明の映像などでも、映像とテロップだけではわかりづらい箇所は、ナレーションで細かい解説を補って、見る人の理解を深めることが可能になります。電車内などのデジタル動画広告などは音声がありませんので、時折テロップが表示されますが、やはり音声がないと臨場感はもちろん、具体的な訴求力に欠けるというのが本音です。
聴覚で人の心を掴む
躍動感や落ち着きなど映像の雰囲気を作り出したり、見る人の興味や理解を引き出して面白さを感じさせることができるナレーションの影響はとても大きいです。“映像”とは言え、視覚だけでなく聴覚からも見る人の心を掴むのです。ナレーションは単なるト書きではなく、映像の完成度を左右する重要な演出と言えるのです。プロのナレーターともなると、ナレーションだけで見てる人のイメージが沸き、映し出される映像が浮かび上がると言われます。
映像や音楽にさらなるエッセンスを!
ディレクターは撮影に入る前から、ナレーションの口調や雰囲気、どんなナレーターにするかなどのイメージを作り、それを頭の中で描きながら撮影を進めています。映像の編集後に、ナレーションと共に音楽や効果音も録音し、映像に新たな息吹が加わり、完成作品となるのです。
テキスト:ナインフィールド
ディレクター 北原 進也