映像は実に多くの人々の手を経て完成します。今回はその中の1人、「プロデューサー」についてご紹介します。他のスタッフに比べても正体がわかりづらいこのポジション。実は作品を作り上げる上で要だったりするのです。
「プロデューサー」って何する人?
映像を制作する上で「プロデューサー」という人物がいるのをご存知の方も多いと思いますが、実際に“どんな仕事をしているのか”は、今ひとつ認知度が低いのではないでしょうか?プロデューサーの仕事は多岐にわたります。クライアント様との打合せ、制作陣との打合せ、ロケハン、取材同行、編集、納品・・・。あっ、あと制作費の管理も重要な任務です。とにかく、制作依頼から納品まで一貫して携わっているのがプロデューサーなのです。テレビ局でもプロダクションでも、どこのチームにも必ずプロデューサーがいます。私も駆け出しのディレクターの頃は思っていました。「あの人、いつもパソコンに向かっているか、出かけてるかだな。喜楽でいいな」と。ところがいざ自分がなってみてビックリ。こんなにも仕事が多いとは!そして、こんなにも作品に深く関われるポジションだとは!
プロデューサーは“架け橋”です
プロデューサーの仕事を一言で表すなら「架け橋」です。クライアント様と我々制作サイドを繋ぐ“橋”。制作スタッフ同士を繋ぐ“橋”。その橋にはクライアント様のご意向や、スタッフのアイデアなど様々ものが行き交います。細くて狭い橋なら少ししか渡れません。より多くが往来できるよう、頑丈で大きい橋を架けることがプロデューサーの大事な使命なのです。そしてその橋は決して一方通行ではなく、いつでも自由に行き来できるようにすることが良い作品を作る上で重要です。プロデューサーはより良いものを目指して、ひとつの作品に対していくつもの橋を架け続けるのです。
「適材適所」それが重要なんです
そしてプロデューサーの腕が最も試されるところ、それは“橋のたもとに何を(誰を)据えるか”です。「スーパーマーケットに行きたいので橋を渡りました。しかし、その先にはホームセンターしかありませんでした。」確かにホームセンターでもいろいろな買い物はできますが、当初の目的は達成できません。医療系の映像を作るのに、スポーツ専門のスタッフを配置したらどうなるでしょうか?ポップでキャッチーな雰囲気にしたいのに、固い作風が得意なディレクターを付けたらどうなるでしょうか?プロの意地にかけてもそこそこ良いものを作るでしょうが、それではこれまで個々が培ってきたスキルは最大限に発揮できません。そんなことにならないよう、プロデューサーが架けた橋のたもとには、目的のものを据えておかなければならないのです。『適材適所』、それを見極める眼力が必要なのです。ナインフィールドにはスポーツ、天気、医療、教育・・・様々な分野に精通したスタッフが揃っています。個々の能力を見極め、しかるべき場所に人材を配置していく。それこそがプロデューサー業の難しいところでもあり、醍醐味でもあるのです。
プロデューサーは人を繋ぎ、想いを繋ぎます。映像を作るだけではない、作品に一歩踏み込んだ関わり方のできる重要な仕事だとやってみて気付きました。弊社のプロデューサーとして、私はきょうも頑丈な橋を架けに行ってきます!
テキスト:ナインフィールド
プロデューサー 笹木 尚人