WEB広告動画というのは、近年映像制作業界で最も勢いが増しているジャンルだといっても良いでしょう。サイバーエージェントが行った市場調査の発表では、2019年現在に2000億円強とされているその市場規模は、今後5年で5000億円弱に達する見込みだといいます。
そんなWEB広告動画市場で戦っていくためには、どのようにすればよいのでしょうか。
まず大切なのはWEB広告動画の特性を理解すること
WEB広告動画というのは、同じ広告動画であってもテレビCMの動画とは大きく性質が異なります。というのも、テレビCMは基本的に尺が限られています。その決められた秒数の中で何かを伝えないといけないので、決して自由度が高いジャンルの映像ではありません。
しかしWEB広告動画にはテレビCM動画のような尺がないことも多いです。1分でも2分でも問題ありません。場合によっては数十分にあたる、まるでミニドラマかのような映像を作成して、それをHPやYouTubeに公開するというやり方も取れるのがWEB広告動画になります。
尺というのは、映像を制作するうえで何よりも大事なことだといえるでしょう。15秒で出来ることと、1分で出来ることは大きく異なります。同じポイントを訴求するのだとしても、1分と15秒ではアプローチは全く異なるものになるでしょう。まずはそれを理解することが大切です。
尺が長ければストーリー性を持たせられる
尺が長くなればなるほど、持たせやすいものがあります。それがストーリー性です。15秒程度のテレビCMは、短い時間でインパクトのある訴求をしないといけないものでした。だから起承転結を付けたストーリー性のあるものはあまり多くはなかったといえます。
しかしWEB広告動画市場が少しずつ拡大を見せてからというもの、「広告動画なのにスキップできない」というようなものがすごく増えてきました。たとえば家族をモチーフにした涙を誘うものから、青春を感じさせるノスタルジックなものまで、内容こそ様々ながら引きこまれるものが多くなっています。
これからのWEB広告動画では、こうした優れたストーリー性があるのはますます当たり前になっていくでしょう。
実際テレビCMで見られるようなモーショングラフィック動画だけで、スキップされないような数分のWEB広告動画を作るのはかなり難しいです。圧倒的なスキルで、特に映像のプロでない人でもすごさが分かるようなモーショングラフィックスを作成できればそれも可能かもしれませんが、それには当然時間がかかります。制作に求められるスピード感が増してきている今では、すべての案件でそんな商品を制作するのは難しいでしょう。
スキップされてしまうような映像ばかり作っているのでは、当然次第に依頼もなくなり、この市場で戦うことは難しくなってしまいます。そうならないようにするために、高いストーリー性を持った映像を作るスキルが必要です。
WEB広告動画市場で戦うためには構成の勉強をしよう
これからますます広がる市場規模のもと、新規参入業者や新規参入のフリーランスなども多くなるでしょう。そこで負けないようにするためには、今のうちから高いストーリー性を持った映像を作るスキルを身に着けておかないとなりません。
しっかりとした構成を考える力を養うには、ストーリー性の高い作品をたくさん見つつ、実際に自分でもそういうものをたくさん作り、少しずつストーリーの作り方を学んでいくしかありません。これからプロを目指そうという方は特に、普段から常にストーリーを意識して映像作品を見て、自分でも映画のような作品を作るように意識しておくと、今後この世界で生き残りやすくなるでしょう。
テキスト:ナインフィールド
ディレクター 高橋 孝太