今、映像制作の仕事において、それぞれのポジションに求められるものは少しずつ変わってきています。その波は当然ディレクターにも押し寄せ、ディレクターを目指している人も、演出だけではなく「何でも出来る人」にならないといけなくなってきています。
何故ディレクターに求められるものが増えているのか
ディレクターに求められているものが増えてきている理由の一つとして挙げられるのは、「求められるスピード感がアップした」ということ。
スマホの普及により、どんなサービスを受けるにも、スピード感が早いのが当たり前になってきました。特にWEBの世界ではスピードこそが命といえるくらいにスピード感が求められています。
映像制作の仕事では、そんなWEB業界を相手にすることも多いです。最近では特に、映像とWEBは切っても切れない関係になり、ますます関係は密接化しています。
社会全体的にスピード感を求められていますし、特にスピードが大切なWEB関係のクライアントと仕事をする映像制作会社も増えてきていますから、制作において求められるスピード感が増すのは当然の流れです。
スピード感で言えば、ディレクター一人でなんでもできた方がはるかに増すことが多いでしょう。たとえば修正のシーン。「ディレクターからどこかに指示を出し、その指示を元にした修正をしてもらい、確認して提出する」という流れで仕事をするよりも、ディレクターがそのまま修正をできれば、編集者の指示確認の時間や指示の意図を汲む時間などが削減できて、ぐっとスピード感は増します。
簡単な編集をそのままディレクターが担当している間に、難しい専門的な編集を仲間に行ってもらうなど、別件の仕事もスムーズに進めることが出来るでしょう。適材適所で有意義な時間の使い方が出来るようになります。
そんな風にちょっとしたことならばディレクターの方で対応できれば、その分全体のスピード感も増していくので、ディレクターには何でも出来るスキルが求められています。
これからのディレクターは何が出来れば良いのか
ではこれからのディレクターは、実際にどんなことが出来ればいいのでしょうか?
たとえばAfter Effectsでのインフォグラフィックスキルやエフェクトスキル、さらにはpremiereなどを駆使したオフライン編集スキル、カメラを使った撮影スキル、さらには音編集スキルや録音スキル、シンプルな整音スキルなんかもかかせません。
簡単に言えば、一人で0から映像を完パケさせるだけのスキルを身に着けることが望ましいのです。
もちろんこれらすべてを高レベルでこなすとなるとなかなか難しいでしょう。ただ全くできないのと少し出来るという違いだけでも、ずいぶん変わってくるはずです。
それらに関しての知識があるだけで、誰かに指示をする際の指示をよりわかりやすく出来るというメリットもあります。だから、少なくともこれらを覚えようとしてみることは必要です。
実際に一人でこなさないといけない時代になるかも
映像業界は、もう長いこと人手不足です。特殊スキルを求められる業界ですし、仕事内容的に労働時間が長めになってしまうということもあります。そのため残念ながら、興味はあっても仕事にしたいとは思わないという人も多いです。
そんな風に人が不足していけば、当然一人あたりの裁量も増えていきます。だからいずれ撮影も編集も音の編集も、すべてディレクターが担当するのが当たり前になる可能性もあります。
そうなったときのためにも、今のうちからできるだけのスキルを身につけようとしておいた方が良いでしょう。
テキスト:ナインフィールド
ディレクター 高橋 孝太