インフォマーシャルの強みとは?

インフォマーシャルの強みとは?
2022年9月19日 ninefield

日中や夕方にテレビを見ていると、情報番組風に仕上げた数分単位のCMが目立ちます。これが「インフォマーシャル」です。インフォマーシャル(infomercial)はインフォメーション (information) とコマーシャル(commercial)の合成語で、通常のCM枠よりも長い尺(放送時間)を使って、より具体的な情報を消費者に提供するための広告です。
 
 インフォマーシャルは、60秒、2分、5分の短尺から30分の長尺まで、さまざまな尺で放送されています。ケーブル局、CS局、独立U局はもちろん、BS、地上波やローカル局など、インフォマーシャルはすべての局で放送されています。ただ、一般の人にとっては、インフォマーシャルとは、実際にどういったものを指すのかよくわからないという人も多いのではないのでしょうか。今回はよく耳にするインフォマーシャルについて、その特徴や強み、一方で気を付けたい点などを探っていきます。



 

 



インフォマーシャルの目的

 いわゆる一般的なテレビCMは、15秒や30秒といった短い秒数ですから、商品やサービス、企業のブランドイメージの向上を目的に、視聴者の印象に残る情報や、認知度アップにつながる情報を発信していきます。これに対し、インフォマーシャルはテレビCMに比べて尺が長いため、商品の特徴だけでなく、使用感や利用シーンまで消費者にしっかりと伝えることができます。

 大きな特徴としては、宣伝対象の商品自体よりも、その商品の使い方を通じて、生活情報の提供に力点を置き、商品やサービスの魅力、メリットといった情報をわかりやすく整理して、視聴者の購買意欲を刺激します。たとえば、「開発者のこんな経験から生まれた」というストーリーや、モニターを使った実証実験の結果を伝えることも可能です。

また、販売実績やメディアへの掲載実績、顧客の商品満足度のアピールも、消費者からの信頼につながるとともに、購買意欲を高めやすくなるといえるでしょう。つまり、インフォマーシャルは、番組を見た視聴者に、その場で電話やネット注文など、商品やサービスを購入してもらうことを目的としています。

インフォマーシャルの「パターン」

インフォマーシャルにはいくつかの「パターン」があります。はじめにご紹介するのが「インフォマーシャル式テレビショッピング」です。情報番組の手法で構成しているのが特徴で、商品の信頼を高めようと、販売実績や愛用者の声の紹介、さらには商品を使用した実験などを盛り込んで構成されます。

 次は「商品PR番組」です。ミニ番組から30分の枠で、特定の商品の内容をタレントやアナウンサーが紹介します。

 続いては「実演型コマーシャル」です。ワイドショーや情報番組などが主戦場で、出演者による商品説明を軸に展開しています。生放送が多いですが、収録の場合もあります。主に一社提供番組の枠内などで放送されます。

 期間限定インフォマーシャルなど、番組本編と直結した特別CMのスタイルをとる場合もあります。例えば、全国ネットの番組で、番組の内容がスポンサーの企業1社とコラボレーションした形式のCMとなっている形をインフォマーシャルと呼ぶ場合があります。また、これとは逆に、複数の企業が一つの番組のスポンサーになって、商品を提供する「キャラバン」形式もあり、単独でのスポンサーが難しい場合に比べ、制作費用を安く済ませることができます。

 さらに公共交通機関の運営会社や旅行会社の提供で、「旅番組や紀行番組」のスタイルをとり、沿線や就航地を中心とした観光地の紹介を行う番組もあります。この場合は、提供各社が実施する交通サービスやパッケージツアー商品などの紹介を挿入します。

 この他、ローカル局では、特定の市町村がスポンサーになって、イベントや店舗など、地域情報のPRコーナーが大半を占める情報番組を放送したり、放送局の事業部門で制作・後援するイベントの案内や、ビデオソフトなどの宣伝を放送したりする広報番組も広い意味でインフォマーシャルの範疇といえるでしょう。

インフォマーシャルの強みと気を付けたい点

  ここまでご紹介してきた通り、テレビショッピングや番組内コーナーのインフォマーシャルは、一般的なテレビCMと比べて、尺が長いため大きな反響を見込めます。
TwitterやFacebookでより多くの人がリアルタイムで感想を発信する効果が期待出来るだけでなく、ツイートが拡散されれば、インフォマーシャル放映後にも、問い合わせが伸び続ける可能性もあります。さらに、タレントによるインフォマーシャルの実績そのものを発信することも、さらなる拡散のきっかけにつながる可能性を生み出すでしょう。

 また、商品やサービスによっては、地域を絞った方が、宣伝効果が出やすい場合もあります。放送の時間帯や尺にもよりますが、ローカル局の放送枠ならば、数万円から購入できる場合もあるので、ターゲットや予算に合わせて上手に放送エリアや時間を絞ることも検討に値します。
 
 一方で、気をつけたい点もあります。ローカル局の場合は比較的、低コストですが、番組によっては、製作費や媒体費が高額になる場合があります。とりわけ、地上波でゴールデンタイムに放送される番組などは、高額なことがほとんどでしょう。リーチ数が多く信頼性の高いメディアを使うため、大きな成果が得られる可能性がある反面、奮わなかったときのリスクも大きくなります。

 また、Web広告の場合は、年齢や性別、在住地域などを細かくターゲティングすることができますが、テレビの場合、媒体の性質上、インフォマーシャルでは細かいターゲティングは難しくなります。もちろん、「世代別人気番組ランキング」などを基におおまかにターゲティングすることは可能ですが、綿密なセグメント(見込み客のグループ分け)には時間がかかる場合があります。特に10代、20代のテレビ離れは年々進んでいるといわれていますから、若年層にリーチさせることは並大抵ではありません。こうした特徴を考慮に入れた上で、インフォマーシャルの制作を発注する必要があります。

 さらに言えば、初期投資として、コールセンターの体制整備も必須です。放送直後に注文が集中した場合、WEBサイトからしか注文できなかったり、受電体制が不十分で電話がつながりにくかったりすると、機会の損失につながります。十分な受電体制が確保できているかチェックしましょう。

プロへの依頼は必須

インフォマーシャルは効果がわかりやすい手法です。動画の内容が売上につながりやすく、視聴者の興味をひく内容の動画が制作できれば、高い効果が期待できます。ただ、単に動画を作って満足するのではなく、費用対効果を検証して収益性を重視することが大切なのは論を俟ちません。尺が長い分、視聴者から飽きられないように適切な要素を盛り込み、成果を実感できる動画を制作したいなら、効果的なインフォマーシャルの制作実績が豊富なプロへの依頼がおすすめです。制作会社や映像プロダクションなどを選ぶ際のポイントは、撮影や編集だけでなく、出演するモニターやモデルなどの手配も合わせて請け負ってくれる会社を探すこと。インフォマーシャル成功のカギは、クライアントの意思を確実に汲み取れる制作会社との出会いが握っているといえるかも知れません。

テキスト:ナインフィールド
ディレクター 村松 敬太