何かの撮影をする時には、屋外で撮影をすることもあります。ただ屋外の撮影は、様々な条件がそろわないと思い通りの映像にならないこともあります。たとえば雨が降っていたら全体の映像は暗くなりますし、ただの笑顔のシーンでも悲しい雰囲気になるでしょう。逆に泣いているシーンですごく晴れていたら、ちぐはぐな雰囲気の映像になってしまう可能性が高いです。
そんな屋外の撮影の中で、天気以外で重要になるのが、時間帯になります。
時間帯によって入ってくる光の色味が変る
普段外にいることが多い方であればわかるかもしれませんが、屋外の光は、常に一定の色味なわけではありません。朝方や夕方の太陽の光は、やや黄色の強い光となります。朝の場合は、その中でもちょっと白よりで、夕方の16時ごろの光は特に黄金っぽい色味になることが多いです。10時ごろから14時ごろは、だいたいの場合で蛍光灯に近いような白が強い光。
このように、一口に太陽の光といっても、実は微妙に色が違ってくるんです。入ってくる光の色が違ってくるわけですから、当然それを採用した映像の印象も変わります。
時間帯による映像の印象
色味が与える映像への影響はすごく大きいですから、撮影する時間帯はすごく重要になります。撮りたい映像を撮るためには、どの時間帯に撮影するとどんな映像になるのかということを知っておく必要があるのです。
まず10時ごろから14時ごろくらいの白い光が与える印象は、やはりはつらつとしたものになります。元気な印象を与えたい時にはピッタリです。また色味にクセがないので、特にこういう見せ方をしたいという、与えたい印象がない時の撮影にも合います。
朝方の光は、白っぽい明るさもありつつも、黄色っぽい色味になるので、希望に満ちた柔らかい印象を与えることが出来ます。だからたとえば、「何かで落ち込んでいた登場人物が再び歩きだす」というようなシーンにピッタリでしょう。
夕方ごろの光は、青春を感じさせる光。たとえば何かに打ち込む人の映像や、友達同士で並んで歩く映像などには最適ですね。それ以外にも、見ている人をセンチメンタルにさせたいときにはこの光が力を貸してくれます。
シーズンによっても多少変わるので注意
ただこうした光が与えてくれる印象は、常に一定なわけではありません。たとえば、夏と冬では微妙に時間帯が変ってきます。夏の場合は、センチメンタルな光が16時ごろではなく18時くらいになることもありますし、朝の光もすぐに白っぽくなり、お昼の光と言える状態が長く続いていくことが多いです。
そのため、実際には、撮影するシーズンの中で、この時間帯にはこんな光になるということを見つつ、撮影する時間を微妙に調整していかないといけません。
カラーコレクションではカバーできない雰囲気作りが出来る
映像の色味は、あとから調整が出来ます。でもやっぱり、あとからがっつり調整した映像と、もともと撮りたい雰囲気で撮れていたものをちょっと整えたという映像では、微妙に雰囲気が違ってきます。後者の方が、違和感のないぐっとくる映像になることは多いです。だからこそ、屋外の撮影時には撮影時間帯にも気を使わないといけないのです。
テキスト:ナインフィールド
ディレクター 林 要