ナレーションは、いい映像つくりには欠かせないと言っても過言ではない、重要なファクターです。だからこだわってナレーション原稿を作っているのに、なぜかなかなか良いナレーション原稿が出来ないという方もたくさんいます。実は、ナレーション原稿作りにはポイントがあるのです。良いナレーション原稿を作るためには、そのための「ポイント」をおさえておかないといけません。
難しい表現を使用しないこと
まず当然ながら、難しい表現を盛り込んだナレーションは、良いナレーション原稿とは言えません。音で聞いてもすぐに意味が分からない言葉が聞こえてきたとしても、それはあまり人に聞かせる意味がないですよね。
たとえば「今日に至るまでには臥薪嘗胆の日々がありました」というようなナレーションよりも、「ここに至るまでは苦労の連続でした」とした方が分かりやすく、効果的なナレーションと言えます。
あえて難しい言葉選びが必要になるような映像もありますが、一般的には小学生でもわかるような言葉選びをするのが、良いナレーション原稿のコツです。
聞き取りやすい文字の量を意識する
人には、聞き取りやすい文字の量があります。文字の量とは、イコールで言葉のスピード。1分間にだいたい250文字から300文字くらいが、人が聞き取りやすいスピードになる文字の量だと言われています。だからナレーション原稿を作る際にもその文字数を意識して作る必要があります。
もし1分くらいの動画のナレーションで400文字くらいの原稿を作ってしまったら、早口になり、ナレーション録りをやり直しさせてしまうことになる可能性が高いです。
ナレーションに余白を入れる
聞き取りやすい文字の量は、だいたい1分間に250文字から300文字でした。でもこれは、別に1分間に250文字から300文字程度のナレーションを入れないといけないということではありません。1分くらいならばまだしも、3分くらいずっとしゃべっているナレーションは、ともすれば邪魔です。ナレーションの中でどこを聞けばいいかもわかりづらく、到底良いナレーションとは言えなくなってしまうのです。
そのため、聞き取りやすい文字の量は意識しつつ、ナレーション原稿にはしっかりと文字の余白を入れるべきなのです。たとえば1分に300文字ということは、10秒で50文字くらいなので、まず10秒に50文字くらい入れて、そのあと5秒くらいあけてまた文字を入れていく、という風に適度に余白を入れるのです。そうすることによって、ナレーションが映像を邪魔することがなくなりますし、よりナレーションが強調され、ナレーションを入れる意味が増します。
また、余白をあけるために細かく時間を指定することで、ナレーターの力量頼りでスピード調整してもらわなくて済むようになるので、まさに良いナレーション原稿になるのです。
何事も設計が大事
何かを作る時には、それが何であっても設計が大事です。設計がぐずぐずだと、出来上がるものもそうそう満足いくものにはなりません。だから、もし映像にナレーションを入れるのであれば、こうしたポイントをおさえて、原稿こそしっかりと書かないといけないのです。
テキスト:ナインフィールド
ディレクター 高橋 孝太