映像制作というと、撮影機材をもっていって撮影をして、それを編集して…というテレビドラマや映画のようなものを想像する人が多いと思います。でも映像には、撮影ナシで作れるものもあります。その一つがスライドショー。このスライドショー、簡単なように見えますが、実は簡単ではなく、奥が深いものなのです。
写真には3つの魅せ方がある
「スライドショーなんて、ただ写真を並べるだけなんだから簡単ですぐ終わるんじゃないか?」と思えますよね。でも、本当に写真を並べるだけのスライドショーでは、見ている方は1分以内に飽きてしまうでしょう。ただ並べるだけならば簡単で、1日以内にはまず作成できますが、飽きられて最後まで見られない動画を作っても意味がありません。
そのためスライドショーでは、魅せ方に気を使わないといけません。そして魅せ方には3つの方法があるのです。
一つは「シンプルに写真を画面全体に表示する方法」。これが最もオーソドックスな方法です。二つ目は「写真を3D化して動きを加える方法」。この方法であればたとえば、机の上に写真が落ちてくる、というような演出をすることが出来ます。そしてもう一つが「画面を分割していくつかの写真を表示する方法」。
それぞれの魅せ方の印象の違い
写真をシンプルに画面全体に表示する方法では、画面いっぱいに写真が表示される分、写真を大きく見せることが出来るというメリットがあります。そのため写真の持つ印象が強く出ます。
写真を3D化する手法は、画面に立体感が出るのが最大のメリットです。写真を平面的に表示しているだけだと飽きてしまうというのは、立体感がなくのっぺりした映像になるから。こういう方法で立体感というエッセンスを加えることが出来れば、ぐっと見やすい映像になります。また、背景などにもこだわれるので、魅せ方次第ですごくおしゃれな印象の映像に出来るというのもポイントです。
画面を分割して数枚の写真を同時に表示する方法は、画面に勢いを与えられます。情報量が多くなるので、ぐっと画面に人を引き込むことが出来るのです。この方法に、たとえば1枚→2枚→6枚→9枚→18枚…という風にどんどん表示される写真を増やしていって、最終的に数百枚の写真で一つのモザイクアートを表示するというような発展技があります。
サブタイトル3つの魅せ方を織り交ぜて作るのがスライドショー
これらの3つの魅せ方は、すべて織り交ぜて作るのが基本です。どれか一つの魅せ方だけで引っ張るのは、よほど写真に力があるか、あるいは3D映像の魅せ方の工夫がずっと素晴らしいということでもない限り難しいです。
比較的、目を引くような写真が多いとか、大きく見せたいと思う写真が多いならば、一枚で大きく表示させる写真を基本軸として、時折この二つの方法も混ぜていく。逆にそもそもの写真サイズが小さかったり、大きな表示に耐えられない場合には3Dの魅せ方を基本軸として時折他の方法を混ぜていく。
このようにテクニックを駆使して、良いスライドショーはできていくのです。
スライドショーでも飽きないものはできる
今までスライドショーを見ていてすぐに飽きてしまっていたから、スライドショーにはあまりいい映像というイメージがない方もいるかもしれません。しかし、このように、スライドショーはきちんと工夫して作れば人を引き付けるものが作れるようになります。
テキスト:ナインフィールド
ディレクター 北原 進也