バイラル動画とは

バイラル動画とは
2022年10月24日 ninefield

 近年、さまざまな動画コンテンツの中で、よく耳にするのが「バイラル動画」です。バイラル(Viral)とは日本語で「ウイルス性」のことで、口コミやSNSのシェア機能によって、動画コンテンツが人から人へ、まるでウイルス感染のように広がっていくことを意味します。TwitterのツイートやInstagramの画像、そしてブログなども、バイラル現象が発生しやすいコンテンツですが、他のコンテンツに比べて短時間で大量の情報伝達が可能な「動画コンテンツ」が最もバイラルに適しているといえるでしょう。すでに海外では「バイラル動画マーケティング」をビジネスの主体としている企業もあります。今回は「バイラル動画」について、注目される理由や具体的なメリット、注意すべき点について、考察していきます。



 

 



バイラル動画が注目される理由

 「バイラル動画」に注目が集まるのは、いくつかのメリットがあるからです。最も期待できるのは「認知度アップ」です。多くの人に視認され、ポジティブな口コミや言及によって商品名やサービス名、そして企業名が認知されます。動画が流行っていること自体が「すごい」「良い動画」というイメージを与えることも多く、その動画コンテンツが事業や製品に直接関係が無くても、企業の好感度アップにつながり、ブランディング効果を呼び込みます。事実、市場に参入したばかりの無名の会社が「バイラル動画」の活用で、一気に知名度アップをしたというケースもあります。動画コンテンツを使ってブランディングに取り組む企業は多いですが、とりわけ「バイラル動画」は非常に高いブランディング効果が期待できます。

 コスト面では「小さい費用で大きな成果」を得られる点がメリットです。「バイラル動画」は、拡散が拡散を呼ぶため、初期投資のあとに追加の広告費をかけなくて済みます。従来、「特定のユーザー」に動画コンテンツを届けるには、YouTube広告等で細かい運用設定をしたり、テレビCMで不特定多数のユーザーに動画コンテンツを配信したりする必要がありました。しかし、いずれもある程度の投資が必要で、戦略が失敗すれば、投資効果を得られないリスクも孕みます。
 
 一方、「バイラル動画」なら、拡散するための口コミやSNS機能のシェアが媒体なので、そこに費用を投じる必要はありません。「いいね」やリツイート・再生回数が多い動画は「有益だろう」「人気があるからシェアしよう」となり、拡散されます。「バイラル現象」が狙える動画コンテンツを制作し、後はYouTube等の動画配信プラットフォームに投稿するだけでOKです。そのため少ない投資で幅広い層のユーザーに動画コンテンツがリーチでき、高い投資効果が見込めます。このように、動画制作や最初のプロモーションにかける広告費だけで、大きな成果を生むことも「バイラル動画」の魅力の一つといえるでしょう。

バイラル動画の注意点

 「バイラル動画」には確かに多くのメリットがありますが、反面、注意しなければならない点もあります。まず、挙がってくるのが、「炎上のリスク」です。「バイラル動画」はウイルス性が高いので、一度配信したら、爆発的な勢いで拡散していきます。しかし、これが思惑と違った方向へ進んでしまうと炎上の可能性があります。そのため、制作する際は慎重にテーマを選び、炎上の可能性はないか十分に検討する必要があります。

 「成果をコントロールしづらい」ことも「バイラル動画」のデメリットといえるでしょう。
視聴者数や視聴回数は多くても、ターゲットから外れた層に見られたのでは、意味がありません。例えば、高級車や高級住宅、またはビジネス系のPR動画を学生が見ても、購入や申し込みには至らないでしょう。反面、日本ではブレイクしなかった国内向け動画が、ターゲットにしていない海外で拡散された例もあり、流行ることが必ずしも動画の成功とは限らない点が「バイラル動画」の難しいところといえます。

バイラル動画を作るポイント

 では、こうしたメリット・デメリットを踏まえ、どんな点に留意して「バイラル動画」の制作に取り掛かればよいのでしょうか。

 まず、大切なのは「他の人とシェアしたくなる動画」です。動画がユーザーの間で広まるためには、SNSなどでのシェアが必要不可欠になります。他の人にシェアしたくなるような要素として、欠かせないのが「誰もが共感できる」動画であることです。動物の可愛らしい仕草や思わずクスッとしてしまうようなアクシデント、あるいは決定的な瞬間を捉えた動画コンテンツなど、ユーザーからの共感を得やすかったり、誰かに教えたくなったりするような動画コンテンツはバイラル現象を起こしやすくなります。

 さらに「マネしてみたくなる動画」もいい例です。ユーザーが元の動画の内容をマネした動画をSNSにアップし、その動画を見たフォロワーが元ネタとなる動画を検索して話題になるといったケースもあります。SNSで「#〇〇チャレンジ」のようなハッシュタグをつけて投稿するなど、意図的にユーザーがマネしたくなるような仕掛けを施して拡散させる方法も有効といえるでしょう。
 
 また、積極的に拡散を展開する上で「オリジナリティを持たせる」ことも大切な要素です。きっちりとした高品質な動画コンテンツよりも、オリジナリティ溢れる動画コンテンツの方が、バイラル現象につながりやすくなります。もっとも、いきなり完全オリジナルのアイデアを出すのは難しいでしょうから、過去の「バイラル動画」を模倣し、自社の商品やサービスに置き換えてアレンジしてみるのも一つの手です。過去に当たった作品には再現性がありますから、まずは「千里の道もコピーから」の気持ちで、「バイラル動画」にチャレンジすることをおすすめします。

 そして、バイラル動画の多くに共通しているのが「インパクト」でしょう。SNSなどで拡散される要素が強いので、それがきっかけで話題になることがほとんどです。日々、多くの情報が発信されるSNSで動画を流行らせるためには、見入ってしまうようなインパクトが必要不可欠です。また、動画コンテンツの視聴者は、自宅でパソコンの前で見るだけではなく、公共交通機関の車内や待ち時間など、ちょっとした隙間時間を使って視聴しています。こうした視聴環境に鑑みれば、ストーリー性が高く長い動画コンテンツよりも、短くてインパクトがある動画コンテンツの方がバイラル現象を引き起こしやすくなります。

 「宣伝主体の内容は控える」ことも含み置きましょう。「自社製品やサービスを多くの人に伝えたい」とはやる気持ちはわかりますが、「宣伝っぽさ」が少しでも織り込まれていると、一気にユーザーの熱が冷めてしまいます。動画コンテンツを使って製品やサービスを売り込みたい気持ちが強くても、「バイラル動画」を制作するにあたっては、その気持ちは多少なりとも抑える必要があります。

 ヒット作には理由があり、まぐれ当たりを期待するのではなく、緻密な計算と入念な仕込みがなされていることは論を俟ちません。先述のポイントを押さえて制作すれば、その動画コンテンツはバイラル動画になる確率が増します。そうしたノウハウを獲得するには、ぜひプロの制作会社への依頼や相談をおすすめします。きっと豊富な経験から「バズる」動画の実現を約束してくれるでしょう。

テキスト:ナインフィールド
ディレクター 林 要