プレスリリースに動画を

プレスリリースに動画を
2022年10月17日 ninefield

 投稿プラットフォームの普及などで、「動画」はますます身近な存在になっています。文章だけで、読み手の想像力をかき立てることも大切ですが、動画の活用で商品やサービス、企業の魅力をより直感的に伝えることができます。こうした特性を鑑み、企業も広告やコンテンツとして、動画を積極的に活用する機会を増やしていて、今や広報・PR活動には不可欠です。今回は、プレスリリースで動画を活用するメリットや押さえておきたいポイントなどをご紹介していきます。



 

 



プレスリリースの意義

 ご案内の方も多いでしょうが、プレスリリースとは、企業や組織が発表する公式文書のことで、その語源は「プレス(press/報道機関)」と「リリース(release/発表・公開)」の2つの言葉を組み合わせた造語です。本来はマスコミ向けに、企業が新たな情報を提供することを意味しますが、現在では、報道向けの枠にとどまらず、企業の広報やPRセクションからの情報が記載された文書そのものを「プレスリリース」と呼んでいます。

 当然、「今まで発表や公開がされていなかった新規の情報」を届けることがプレスリリース最大の意義であり、新規情報には、新製品や新サービスをはじめ、新しい取り組みや新規事業、さらには経営や人事といった企業に関する情報などが含まれます。

 従来、プレスリリースを出す最大の目的は、マスコミ他のメディアに取り上げられることでした。掲載が実現すれば、第三者であるメディアを通して、生活者に認知を広げられるからです。しかし近年は、報道向けだけでなく、自社サイトを通じて、生活者に直接思いを伝える場として活用される場面が目立ってきました。自社媒体で、正しい情報や展望を発信すれば、顧客や取引先への信頼が高まりますし、世の中の反響が「鏡」になって、マーケティングへつなげることも可能だからです。

プレスリリース動画化のメリット

インターネットが活用されるようになって、プレスリリースの発信方法も大きく様変わりしました。従来は画像が中心でしたが、最近はプレスリリースに動画を活用するケースが増えています。特に欧米は動画マーケティングが盛んで、プレスリリースに動画を活用することは最早、当たり前になっています。当然、日本でもプレスリリースの動画化が進み始めていて、プレスリリース配信サイトが続々と動画に対応しています。工夫をこらした動画付きプレスリリースが多く登場するようになり、自社の活動周知に寄与しています。
 
 動画化するメリットとして、文章ではなかなか伝えきれない情報をわかりやすく届けられることが挙げられます。アイキャッチ効果も期待でき、リリースページ内の滞在時間が長くなるメリットもあります。例えば、施設のオープンやイベント風景、新商品紹介やサービスの利用法などは動画の独壇場といえるでしょう。

 さらに、動画で情報収集する人が増えているいま、「テキストを読むのは面倒だけど、動画なら見る」という人も一定数います。こうした「追い風」を考慮すると、プレスリリースに動画を埋め込めば、テキストだけでは表現しきれない情報を読み手に伝えられますし、場合によっては、新たな発見を促す効果も期待できます。

 また、動画をYouTubeなどの動画投稿プラットフォームにアップロードすれば、プラットフォーム経由で高評価や低評価の数、さらには視聴者層などのデータが取得できます。こうした動画そのものに関するデータは、プレスリリース自体の反響と組みあわせて次回以降の戦略の参考にできることも見逃せないメリットといえるでしょう。このように、プレスリリースを動画化するメリットは数多あります。

動画化の際のポイント

 では、実際にプレスリリースで動画を導入する際には、どんなポイントに気をつければよいのでしょうか。動画素材がある場合は積極的に活用するのはもちろんですが、動画素材が無い場合は代表者のスピーチや告知動画などを制作してみるのも一つの手段です。制作にあたっては、ストーリー性を意識してみたり、スマートフォンでの視聴を視野に入れてみたりするなど、視聴者が見やすい情報発信にすることを心がけましょう。その上で具体のポイントを数点ご紹介します。

 まず、動画の公開制限の有無を事前に社内で確認しておきましょう。例えば、プレスリリース配信サービスを利用して配信する場合と、メディア関係者宛にメールを個別送付する場合とでは、それぞれ公開設定に関する注意点が異なります。最近、多いのは、YouTubeにアップロードし、URLが発行されている動画をプレスリリース内に挿入する方法です。

もちろん、メディア関係者へ添付ファイルとして、個別に直接、動画をメールで送ることも可能ですが、セキュリティや容量の関係で受信しても再生できない場合がありますので、「動画投稿プラットフォーム」や「大容量ストレージサービス」に動画をアップロードし、URLのみをメールで送付した方が確実です。

 プレスリリースの趣旨が伝わる長さや内容になっているかも重要なポイントです。あまり長いと途中で見るのを止めてしまう危険性が出てきますし、ひとつの動画にあれもこれもと盛り込んでしまうと、訴求ポイントが分散してしまい、逆効果になりかねません。さらに、プレスリリース配信サービスを利用する場合は、ひとつのリリースに2~3件以上動画を埋め込むと表示速度が遅くなってしまう可能性もあります。動画1本につきメッセージはひとつに絞るなど、端的で客観的な内容になっているかに留意しつつ、1~2分程度の長さに収めるのがベストです。あまつさえ、動画が視聴できない環境の読み手もいますから、動画を活用する場合であっても、頼り過ぎず、文章や画像だけでも十分に内容が伝わるよう、丁寧な書き方を心がけましょう。

 また、編集前のキャプションなどが入っていない動画素材を提供できると、特にテレビ局の関係者には、重宝されます。なぜなら、テレビの場合、局独自でテロップを入れ直すことも多く、自社側でテロップを入れてしまうと、加工処理などの手間が増えます。キャプションが入っていない素材が提供可能な場合は、プレスリリースに記載しておきましょう。こうして、データによる定量的な評価に加えて、メディア関係者からのフィードバックや社内、生活者からの反響などが収集できれば、プロジェクトのプランから実行、検証といった一連の流れを回す上で大いに役立ちます。

制作会社への依頼も有力な選択肢

これまでご紹介してきたように、動画がますます身近な存在となっているいま、プレスリリースへの動画導入は、生活者やメディア関係者に効果的なアプローチが期待できるでしょう。ただし、素人が動画を撮影しようとしても、構成や撮影、編集は一朝一夕にできるものではありませんし、時間や労力、何よりもコストがかかってしまいます。そこでここは経験豊富な映像制作会社への依頼を選択肢に加えてみては如何でしょうか。仮に相談だけでも、ずいぶんとブラッシュアップした動画ができるはずです。ぜひ、プロへの依頼や相談を選択肢に加え、受け手側への効果的訴求が実現できる動画制作へ近づくことをおすすめします。

テキスト:ナインフィールド
ディレクター 有明 雄介