映像の専門学校に通わないと通用しない?それとも独学?良いとこ取りの選択肢とは!

映像の専門学校に通わないと通用しない?それとも独学?良いとこ取りの選択肢とは!
2024年12月16日 ninefield

メディアが多様化する中で、映像が果たす役割が重要性を増しています。単に映像制作とは言っても、そこにはさまざまな分野や業種があって、それぞれに専門的な知識が必要とされます。そのため今では映像業界を目指す人たちのために、一貫した教育を行う専門学校も増えています。
映像制作の業界で働く人々は、誰もが専門学校で教育を受けてから業界入りしたのでしょうか?
中にはまったく畑違いの仕事から入って、映像業界で活躍する人もいるのでしょうか?
映像業界の就職活動はどのようになっているのか、その裏側を覗いてみましょう。



 

 



映像制作業界に関わるひとびと

一般的な映像コンテンツを完成させるまでには、そのプロジェクトが大規模になるほど多くのスタッフが関わります。
一例として、1本のドキュメンタリー番組を制作する流れから考えてみましょう。
まず通常は、こんな番組を作ろうという企画からスタートします。企画が固まった時点で番組を構成する段階に入ります。
ここから多くのスタッフが、自分の担当する業務ごとに準備を始めるわけです。
ドキュメンタリーの場合は撮影の比重が高いので、現場でのロケーション・ハンティングは欠かせません。撮影クルーは早速動き出します。ナレーションや音響・BGMの準備も必要です。
番組のレポーターや案内役が必要な時には、その手配もしなければなりません。
まだまだ数えきれないほど多くの仕事が同時に進行することになりますが、さて一体ここにどれくらいの人々がスタッフとして関わるのでしょうか?
大まかに挙げてみると、プロデューサー、ディレクター、レポーター(俳優・タレント)、ナレーター、カメラマン、音声担当、編集担当、MA担当、照明担当・・・
その他の細かい作業まで含めると、さらに多くのスタッフが1つの番組を作るために、それぞれの持ち場で担当業務を進めています。
つまり、ひと口に映像制作とは言っても、そこでは実にさまざまな人々が多様な業務をこなしているわけです。

映像制作とは学ぶもの、学べるものなのか?

一般的な仕事には技術や経験が必要です。もちろん映像制作の仕事でも同様ですが、もう一つ映像の世界には欠かせない資質があります。それは感性、つまりセンスです。
いわゆる芸術的な映像制作に関わる仕事では、一流の作品を仕上げるためには生まれつきの才能が必要です。画家やアーティストなどは、努力のその奥に必ず才能がなければ成功は難しいでしょう。
一方で映像制作に求められる感性にも、才能と通じる部分がありますが、感性は磨くことができます。本人の努力や経験次第で、感性を高めることは充分可能です。
その点から見ると、映像制作は学べるものだと考えても良いでしょう。
ただし感性にプラスして、映像制作の仕事に就くためには多くの知識を吸収して、技術を習得しなければなりません。その方法にはいくつかの異なったアプローチがあります。

映像専門学校から業界入りを目指す道

映像に関わる仕事には、映画やテレビのような業界以外にも、プロダクションとして総称される映像制作会社があります。
これらの企業に入って働くために、基礎から専門技術まで一貫して学べる教育機関が映像専門学校です。
専門学校で学ぶ利点は、まったくの初心者からでも映像について教えてもらえること。さらに段階的に専門分野まで学べるので、卒業するまでには効率的に一定の知識と技術を身につけられることです。
例えば撮影用のビデオカメラは、家電量販店で売っているカメラとは大きく違った精密機器です。実際にさわってみないと、絶対に使いこなすことはできません。
専門学校ではプロが現場で使う機材で実習できるので、卒業するまでには一定の技術をマスターできるでしょう。
また撮影そのものにも多くの専門的知識が要求されます。カメラを操作する技術と、撮影するという技術は別のもの。この2つがバランスよくミックスして、はじめてプロの撮影が可能になるわけです。
現在の専門学校では、まず基礎的な技術や知識を学んでから、大学と同じように専攻課程に進み、自分が目指す分野について専門的に学ぶことができます。
その中には映像制作以外にも、脚本や監督の専攻、音響専攻、スタジオワーク専攻、アニメーション専攻など、多種多彩な講義や実習が含まれています。
明確な目標を持って映像について学び、就職する時点でほぼ現場にデビューできる実力を身につけるなら、専門学校への進学は最も着実で現実的な選択かもしれません。

異業種から映像業界への転身は可能?

映像制作会社に入社すること自体は、即戦力としての中途採用を除けば、特に必要な資格もなく難しくはありません。高学歴が条件になることも、ほとんどありません。
新卒未経験で入社することはもちろん、別な仕事から転職することにも比較的オープンな業界です。
異業種から転身する場合、やはり写真の世界に身を置いていた人は有利かもしれません。しかし企画の仕事や営業、デザインなどさまざまな業種で培った知識や技術は、映像の世界でも何かの形で役に立ちます。
その点極端な言い方をすれば、それまで何の仕事をしていても、そこから映像制作の仕事に進むことには、それほど高いハードルはないと思って大丈夫です。
ただし一人前になるためには、それなりの期間と努力が必要ですが。
もしも本気で映像業界への転身を検討するのであれば、現状の仕事を続けながら、映像については独学で基礎を作っておいた方が就職には有利になるはずです。

独学で目指す映像業界への道

専門学校に通わずに、独学で映像制作について学ぶことも可能です。その場合は書籍で知識を得たり、インターネットから情報を仕入れたりすることになります。
より実践的に技術を学ぶためには、インターネットを通してYouTubeやオンラインの教材を使った方が、書籍だけに頼るよりも効率的です。しかも優れた映像クリエイターの作品を参考にすることもできます。
撮影に関しては家庭用のビデオカメラでもいいので、実際に色々な被写体を撮ってみる必要があります。その映像素材をベースにして、編集ソフトで作品に仕上げることもできるでしょう。
まったく映像体験がないよりも、普段からあちこち撮影する趣味を持っていた方が良いでしょう。写真と同じで、カメラを通さないと見えないものが必ずあります。
ある程度キャリアを積めば、独学で作り上げた作品をポートフォリオとして、いざ映像制作会社に就職する場合に利用できるかもしれません。

映像業界で生きてゆくためには

現在はデザインや音楽と同じように、映像の世界に進む人のためにも多くの教育機関が存在しています。映像専門学校で基礎から応用まで学んでおけば、映像に関わる仕事に就くことは難しくないはずです。
映像制作がこれほど一般的になる前は、学校で技術について学ぶよりも、直接映像制作会社に入社して一から経験を積んだものです。ただし編集の技術や撮影の手法は、以前に比べて現在は格段に進歩しています。
これから映像業界でレベルの高い仕事をするためには、撮影から編集まで非常に多くの知識を習得する必要があります。同時にビデオカメラ・パソコン・編集ソフトなど、実際に経験を積んで覚えるべき技術もますます増えています。
その点では映像制作業は、もはや専門職に分類される仕事かもしれません。しかも知識と技術だけでは通用しない世界でもあります。常に優れた感性が求められる仕事だからです。
どのようなステップを踏んで映像業界に入るかよりも、現場の仕事についてから、常に感性を磨き続けることの方が重要です。また、現場での経験を重ねないと仕事の幅も広がりません。どんなルートから映像業界に入っても、現場でのスタートラインは同じ位置にあると考えた方が良いでしょう。

テキスト:ナインフィールド
プロデューサー 松野 一人