映像編集において、トランジションというのは非常に重要なポイントです。トランジションが拙いと、それだけですごく初心者感の強い編集に見えてしまい映像全体のクオリティが下がってしまいます。映像編集のプロになっても、トランジションにはすごく気を遣うという人も多いです。
そんなトランジションですが、実は簡単になるべくプロらしく見せるためのポイントがあります。
なるべくゆっくりしたトランジションをかける
トランジションは、プレミアプロなどのソフトであればエフェクトをドラッグアンドドロップするだけで簡単にかけることが可能です。ただそれをそのまま使うだけでは、やはり初心者感はぬぐえません。ではどうすればいいのでしょうか。
答えは簡単で、なるべくトランジションスピードを伸ばすだけで十分脱初心者になります。
映像と映像がゆっくり変わっていくことで、場面の展開をより印象的にすることが出来ます。つまりトランジションエフェクトにぐっと意味を持たすような演出が可能なのです。
これがノーマルスピードだと「何となく寂しいからエフェクトをいれた」ように見えてしまい、初心者感が強く出てしまいます。もちろんBGMや映像に合っていることが大前提ではありますが、遅めのトランジションにしても問題なさそうであれば、一度それを意識してみるのがおすすめです。
その際、もしトランジションにブラーがかかっていなければ、調整レイヤーなどでブラーをかけてあげるとぐっと意味深になり、プロらしくなります。
トランジションは多用しすぎない
たとえば公園で遊んでいるようなAという動画ファイルと、居酒屋で飲んでいるようなBという動画ファイル。さらに家で寝ているようなCという動画ファイル、また違う画面のDという動画ファイルがあったとします。
その際AからB、BからC、CからDと場面が大きく展開する際に毎回トランジションを入れてしまうという方もいるでしょう。でもそれこそが素人感を強くしてしまう原因となっています。
トランジションをしつこく入れると、やはり「意味のないエフェクト」に見えてしまい、「意図のない編集」だとみられてしまいます。そして何より見づらいです。
場面の移り変わりが急だとそれにおびえてしまう気持ちもわかりますが、ドラマなどで場面が切り替わる度に毎回トランジションがかけられているところを見たことがあるでしょうか?まずないでしょう。急な場面の移り替わりも、思ったほど見る方には違和感は与えないものです。むしろ無駄に多用されるトランジションの方がよほど違和感になります。
トランジションを使用する際には、きちんと意味を持たせてあげるように意識すると良いでしょう。すると無駄な使用が控えられ、1回1回のトランジションが効果的になり、プロらしい映像になっていきます。
エフェクトを組み合わせてあげる
たとえば先に挙げたような、ブラーを加えてあげるなどのシンプルなものでもいいでしょう。ズームするようなトランジションエフェクトであれば、そこに画面の4つ角を伸ばしてあげるようなエフェクトをかけて、よりズーム感を強調してあげるというのもよく見られる手法です。
このように基本的にトランジションエフェクトは、それをそのまま一つで使うのではなく、何かのエフェクトをそこにプラスして、より雰囲気を高めてあげることが多いです。実際それが素人感を脱することに繋がります。
毎回毎回エフェクトを加えていると手間がかかるので、自分なりにしっくりくるエフェクトの掛け合わせを見つけたら、それを保存しておいて、いつでも呼び出せるようにしておくとよいでしょう。そうして自分なりのトランジションを増やしていくと、どんどんプロ仕様の映像ができるようになります。
トランジションに注目して映像を見てみよう
今まではあまりトランジションに注目して映像を見ることもなかったのではないでしょうか?でも、改めてトランジションに注目してみると、自分のトランジションとの違いが見えてくるはずです。気に入った映像のトランジションを真似していくことも編集の引き出しを増やしていくことにつながります。
インプットを増やしつつ、これらのことを参考にトランジションをかけていけば、ぐっと素人感を薄めていけるでしょう。
テキスト:ナインフィールド
ディレクター 村松 敬太