最近では、フリーランスで仕事をするというのもどことなく一般的になってきた感じがあります。実際映像制作の現場でも、フリーランスで仕事をしている人は多々いますし、何かあればフリーランスの人にお願いする部分があるという会社も多々あるでしょう。
しかし実際映像制作者の方にフリーランスになることをおすすめできるかと言われれば、自信をもってイエスとは言えません。
映像のフリーランスは稼ぎづらいといえる
映像の仕事は、どうしてもいろいろな面で時間がかかる仕事になります。たとえば素材のやり取りだってデータダウンロードで時間がかかりますし、当然アップロードにも時間がかかります。
またシンプルに映像を編集すること、制作することにも時間がかかりますし、それが終わったら今度はレンダリングの時間です。レンダリングは、ひどいときには半日程度、すごく複雑で重たいことをしたら場合によっては24時間程度時間を奪われることにもなります。
フリーランスは、ほとんどの場合で月給いくらという世界ではなく、1本いくらという世界でやっていくことになります。1本いくらの世界では、たしかに10万円のものを1日で仕上げれば日給10万円となり高給取りに見えます。ただ10万円のものを10日かけてしまったら日給1万円です。
制作ややり取りに時間がかかりがちな映像制作の世界では、どうしても1本単価の金額の見た目ほど、月収は増えづらいといえるでしょう。
単価がきちんとしているフリーランスの映像の仕事は多くない
映像制作業界は今アツいといわれることが多い業界です。確かに一般的なYouTuberであっても編集を外注している人が多くみられるようになってきました。またクラウドソーシングサービスなどでも、映像の仕事をフリーランスに依頼している案件は確かにあります。
しかしその仕事の多くは、映像制作業界にいる人から見れば、「え?」と思ってしまうような単価での仕事であることが多いです。
たしかにそこまで高度なレベルを求められているわけではないのですが、とはいえ間違いなく最低賃金以下になるような単価の仕事がほとんどです。
勿論フリーランスを考える場合、ある程度もともとの会社でのつながりなど、仕事をもらえることが確定している状態となっているのでしょうが、それもいざフリーになってみたらいつまで続くかわかりません。
制作を請け負う忙しさの中、常に少しでも良い仕事を求めてアンテナを張り続けて、アプローチし続けないと、映像制作でフリーランスとしてやっていくのは厳しいでしょう。
能力を活かせる仕事も少ない
単価のきちんとした仕事が少ないというのはイコールで、能力を活かせる仕事が少ないということでもあります。あまり長い間フリーランスでいようとすると、次第に自分の映像制作者としてのスキルが落ちていってしまう可能性も高いです。
フリーランスの世界では、制作の傍ら仕事を得るための営業努力をしつつ、かつスキルも磨かないといけないというのが、実際のところになります。
良いところは時間の自由度が高いところ
映像制作においてのフリーランスはこのように大変なことが多いですし、映像制作の仕事は決してフリーランス向きとは言えないでしょう。ただ良いところも確かにあります。
フリーランスになれば時間の自由度は高いです。朝に制作しても深夜に制作しても、締め切りにさえ間に合えば問題はありません。その環境をどうしても手に入れたいならば、フリーランスを考えてみるのもありでしょう。
テキスト:ナインフィールド
ディレクター 村松 敬太