映像制作の現場では、当然ながら映像制作のスキルが必要です。でもそんな制作スキルと同じくらいか、あるいはそれ以上といってもいいくらいに必要になる能力の一つに、コミュニケーション能力があります。
ここでいうコミュニケーション能力とは、面白可笑しくしゃべる能力のことではありません。あくまでも、映像制作においての「コミュニケーション能力」が必要なのです。
相手のビジョンを正確に聞き取る能力
映像制作を依頼してくるクライアントには、まず映像制作を依頼するにあたっての目的があります。まずはその目的を明確にしないとなりません。その目的を明確にしたら次は、どんな映像を作ってその目的を叶えるかという相手の希望を聞きとる必要が生じてきます。
その二つをしっかりとリサーチしてはじめて、相手の作りたい映像のイメージを正確に聞き取ることが可能になります。
こちらがどれだけクオリティの高い映像を作ったとしても、それが相手にとってのそのイメージをカバーできるものでなかったらその映像は当然ボツになります。またそのイメージのすり合わせから始めないとならず、お互いに手間と時間を大きく損してしまうでしょう。
そうならないためにも、映像制作者には相手のイメージを正確に聞き取る能力が求められるのです。映像制作におけるコミュニケーション能力とは、そういった能力のことを指します。
言葉だけで聞き取ろうとしないのが吉<
言葉だけで誰かとイメージを共有するのはかなり難しいです。それは見知った仲でもなかなかできることではありません。それを初対面の方と、しかもビジネスマナーをある程度守った距離感の会話で叶えていくのはかなり難しいものがあります。
しかしイメージの共有は正確にしないとなりません。そこで参考になるのが、美容師のやり方です。
美容師は、髪を切る際のビジョンの共有のために、ヘアカタログを見せてくることがあります。それは、絵で共有した方がはるかにお互いの意思疎通がしやすいからにほかなりません。お互いに確実に見えているものが一緒になるので、イメージにずれが起こるはずもないのです。
映像制作でもそのコミュニケーションスキルは役立ちます。相手のある程度のイメージを言葉で聞いたら、それに合いそうな映像をいくつかリサーチして見せてみましょう。そこから少しずつイメージをすり合わせていけば、正しくイメージの共有ができます。
映像に関しての引き出しを多く持っておくことが大切
相手の言葉を聞いて、それに近しいと思われる映像を提供するためには、いろいろな映像作品や映像手法に関しての引き出しを多く持っておく必要があります。たまたま自社が手掛けた作品にそれに近いものがあればその必要はありませんが、毎回毎回そうなるとは限りません。
そのため、いつでも映像作品のインプットを増やしておく必要があります。実はこれこそが、映像制作においてのコミュニケーション能力アップの秘訣です。
必ず求められるスキルだから鍛える必要がある
映像制作にかかわる限り、こうしたコミュニケーションスキルは必ず求められます。逃れることはできないので、覚悟を決めてしっかりと鍛えておく必要があるでしょう。
日々映像作品を見たり、調べたりして、少しずつインプットする習慣をつけていってください。
テキスト:ナインフィールド
ディレクター 高橋 孝太