購入したくなる通販動画に

購入したくなる通販動画に
2022年6月27日 ninefield

 インターネットの浸透やデジタルデバイスの普及で、オンラインで商品を販売するEC(電子商取引)が進んでいます。EC市場の拡大で、より多くの方が通販を利用したショッピングを楽しんでいます。ECは、消費者側にとって時間や場所の制限がない上、移動コストもかかりませんから、大変便利な仕組みといっていいでしょう。
 経済産業省が去年7月に発表した「電子商取引に関する市場調査」によりますと、ネット通販の分野は2013年以降、安定して成長しています。特に、物販系分野は近年のご時世も加わって、市場規模が大きく拡大しました。
 こうした中、動画でわかりやすく商品の魅力を伝えることは、顧客のニーズに合致し、積極的な活用が売上向上につながる可能性が指摘されています。事実、ECの世界は今、動画コンテンツを活用した訴求へとシフトしています。
 今回は通販に動画を活用する上で、効果的な方法や制作の際のポイントなどをご紹介していきます。



 

 



通販で動画を活用するメリット

 通販で動画を活用した場合、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか。まず挙がるのが「信頼度アップにつながる」という点です。通販では、実際に購入したいと考えている商品を手に取って吟味できませんから、本当に自分のイメージしている商品か、サイズ感はどうなのかといった不安を抱きやすくなります。その点、動画だと、視覚的に商品を見せられますから、商品の実際のサイズ感や雰囲気などをイメージしやすくなり、視聴者の商品に対する不明な点や不安な点は解消します。店主や開発者などが出演して、商品をアピールするのも、より一層の信頼度アップにつながるでしょう。

 動画は、SEO対策としても効果が期待できます。SEOとは「検索エンジンの最適化」つまり検索流入を増やすようにすることです。ウェブサイトに関連性の高い動画を掲載すれば、そのページは、より良質なコンテンツをもつことになり、検索上位に表示されやすくなります。YouTubeへ動画をアップするなら、掲載している動画に自社サイトへのリンクをはれば、自社のECサイトへの流入数アップにつながるでしょう。
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通販用動画の種類

では、どのような動画が通販において相性が良いのでしょうか。ここでは、通販で使われている動画の種類についてご紹介します。

 まず、挙がってくるのが「商品の特徴や機能」を紹介する動画です。通販で購入する場合、複数の商品を比べて購入することが多いため、商品の機能や特徴を紹介する動画が効果的です。商品の機能や特徴を文字情報のみで表現すると、長文になってしまったり、特徴を表す言葉が他の商品と似た表現になってしまい、独自の特徴を表現できなかったりします。しかし動画を使った表現ならば、商品の特徴などをわかりやすく伝えられますし、他の商品と差別化する上でも効果が見込めます。また、実際に商品が届いたときに、思い描いていたイメージとギャップが起きないよう、できるだけ的確に商品の特徴を伝えることも可能です。

 「ハウツー動画」も購買の入り口としてはポピュラーです。通販で買い物をする場合、多くの人は予め目的を持って商品を探しています。そのため、「実際にどのように使うのか」といったハウツー動画が「購入の呼び水」につながる場合も珍しくありません。具体的な商品の利用方法を紹介しますから、画像を見ただけではわからない使い方やサイズ感を、映像を通して把握できます。また、説明書のみだと文字やイラストだけですから、理解に時間がかかることもありますが、動画なら、ポイントをまとめて伝えることが可能です。

 「お客様の声」を動画にすることも、効果的なアイデアと言えるでしょう。通販では、口コミを参考にして商品を選ぶ人が多く、口コミがきっかけで、人気に火がつくケースもあります。実際に商品を使用したユーザーに「お客様の声」として感想を述べてもらうことで、購入を考えている人の購買意欲を高めることができます。具体的な例としては、「購入の経緯」や「使用した感想」といったところにスポットを当てるインタビューを動画化すると、購入を検討している人の背中を後押しできます。文章のみの訴求と比べ、実際の利用者の声は、より商品の魅力が伝わるでしょう。

制作上の留意点

 では、実際にどんな点に留意して、動画を制作すればよいのでしょうか。まず、大事なのは「ターゲットのニーズ」を把握することです。通販向け動画制作の際に、最優先して考えなければならないことは、「どのような視聴者を想定するか」です。そしてターゲットである視聴者がどんなことを求めているかを的確に把握し、それに合わせてストーリーを組み立てていきます。商品の使い方がメインなのか、それとも特徴を知りたい視聴者が多いのかによって動画のストーリーは変わります。商品によっても変わるニーズを把握し、マッチしたストーリーを展開していく必要があります。

 ターゲットを絞ったら次は「商品の強み」を洗い出しましょう。動画を制作する際には、前もって紹介する商品の強みを洗い出してみると、ポイントを押さえた良い動画になります。商品の特徴もわかりやすくなり、視聴者の購入意欲が高まります。

 もちろん、商品の大きさ、重さ、明るさ、音の高さどの仕様が動画を通して確認できるようにすることも外せないポイントです。その際、視聴者が抱きやすい購入前と購入後のギャップを埋めるようにすることも心がけましょう。

 既にかなり浸透していますが、動画コンテンツは、YouTubeやTikTokなどの動画配信プラットフォームで配信することができます。そして、動画配信サービスはTwitterやInstagramといったSNSと相性が良く、共感されると拡散していきます。つまり商品の制作秘話や世界観なども、ストーリー感のあるものにすれば、広告費をかけることなく、SNSで拡散されていく可能性が出てきます。またSNS以外にも、実店舗のディスプレイに流して、呼び込みの代わりにするなど、目に触れる機会を増やすのも有効な販売戦略と言えるでしょう。

自力か外注か

 動画を使ったプロモーションは高額になりがちですが、動画ECの場合、簡単なコンテンツであれば、スマートフォンでも撮影は可能です。構成にもよりますが、自力でコンテンツを作成して費用を抑えつつ、こまめに反応をみながらタイミングよく投入することも効果的でしょう。

 ただし、ここで重要なのは、動画発信を単発で終わらせるのではなく、継続的な情報発信です。なぜなら商品を購入した客がリピーターになる可能性があり、ひいては長期的な関係づくりにもつながるからです。フォロー動画や新しい情報、シリーズ商品への関連付けなど、継続した配信を見越すには、制作の初期段階で、ある程度のクオリティを考慮しておく必要があります。その場合、制作会社への外注も選択肢の一つと言えます。とにかく制作会社は経験が豊富ですし、プロならではのノウハウも数多く持っています。機材や編集などもオール・イン・ワンで対応してもらえるでしょう。
 
 これまでご紹介してきたように、通販では、動画は有効なコンテンツ。商品の特徴や魅力をわかりやすく伝え、視聴者の購買心理をくすぐる動画をつくるには、ぜひ制作会社への依頼も検討材料に加えてみてはいかがでしょうか。

テキスト:ナインフィールド
プロデューサー 笹木 尚人