不動産業の動画活用

不動産業の動画活用
2021年12月20日 ninefield

さまざまな業界で活用されている動画は、不動産業界も例外ではありません。多様なシーンで役立ち、他社との差別化やブランディング力の強化を図る上で、動画の活用は極めて有効です。特に近年は、現地での物件紹介が減少傾向にあり、集客やマーケティングの方法として、動画を積極活用する企業が増えています。今回は、不動産業界で動画を活用するメリットやポイントを紹介し、業績アップに結び付く方法を探っていきます。



 

 



不動産業界で動画を活用するメリット

 不動産紹介に動画を導入するメリットとして、筆頭に上がってくるのは、物件の魅力をわかりやすく伝えられる点です。動画が出現する以前は、画像や文字情報だけでしたから、伝えられる情報も限定的で、必ずリアルの内見が必要でした。しかし、動画を使えば、文字や画像だけでは伝えきれない物件の魅力を、音声と映像を使ってわかりやすく表現できます。各部屋の詳細も伝えられるので、視聴者は実際に住むイメージがしやすくなり、訴求力が大きく変わってきます。さらに、物件の周辺環境なども紹介すれば、視聴者は安心感や好感などを得られるでしょう。360度動画を活用すれば、よりリアルに雰囲気や状況などを伝えられ、感覚に訴えかけやすいメディアとしての特性が、ふんだんに活かされることでしょう。上手に活用すればビジネスに貢献する可能性が高いといえます。

 ビジネスへの貢献は、当然、企業のブランディングへも好影響を及ぼします。他社との差別化を図る上で、ブランディングが重要な鍵を握ることは論を俟ちませんが、不動産業界も例外ではありません。例えば「地元物件に明るい」ことが強みなら、地元ならではの雰囲気や感覚に重点を置いた動画でアピールすることが、企業のブランディグにつながります。また、担当者や企業のトップが実際に出演することで、ユーザーには信頼感はもちろん、透明性がある企業といったイメージも与えられるでしょう。このように、自社の強みやオリジナリティを表現する上でも、動画は、画像や活字だけの場合に比べて、はるかにインパクトを残せます。

 

動画で物件紹介する場合のポイント

では、実際、不動産物件の紹介に、動画を活用する際は、どんなところに留意すべきでしょうか。
 まず、動画の活用目的の明確化です。動画は、さまざまなシーンで活用することができるので、事前に「なぜ動画を活用する必要があるのか」を考え、目的を明確にしておくことが最重要です。目的が、物件紹介なのかそれとも企業のブランディングなのかによっても変わってきます。当然、構成や演出にも変化が出てきますから、構想の段階でしっかりとしたイメージをもつことが、キーになってきます。

 物件紹介の動画については、個々の物件の強みを把握しておくことも重要なポイントと言っていいでしょう。どの物件も同じような見せ方をするのでは、他社物件との差別化にはつながりません。それぞれの強みを活かし、的を絞って、長所を強調することが大切です。例えば周辺環境の充実を訴求したいなら、物件だけでなく、周辺の紹介も積極的に展開すれば、より好印象につながるでしょうし、サービスが充実している物件ならば、動画の構成をサービスの紹介重視に組むことも必要になってきます。このように、物件の長所を把握することで、動画の方向性はおのずと決まります。

 テクニックでいえば、物件詳細ページに動画を組み込むことです。物件の詳細や平面の間取り図といった「テキスト」の情報に、動画を加えることで、ユーザーに対して、物件情報を視覚的かつ立体的に伝えることが可能になります。実際に撮影する場合には「物件を内覧する時の視点」や「外観から入口を経て部屋という流れ」を意識すると、ユーザー目線になり、訴求力が高まります。

 長すぎる動画も禁物です。利用者は数多くの物件を閲覧するので、1回の動画が長いと途中で面倒になってしまい、最悪、見るのをやめてしまいます。これを予防するには、利用者が知りたいと思われる部分を端的に撮影し、不要な部分をカットするなどの編集作業が必須です。内覧したい箇所を情報収集するには、アンケートなどを活用し、配信動画に盛り込む情報を必要最低限にまとめておくことが肝要です。

 

わかりやすい動画の具体例

では、実際に動画を撮影する具体を紹介していきましょう。まず、自社の物件ならばブランドイメージを冒頭で伝え、紹介する物件のまわりから撮影をスタートします。この時、間取りの広さやおすすめポイントはもちろんですが、動画では見えにくいところなどの情報も、テロップで補足するのを忘れないようにしましょう。

 間取りが一目でわかるよう、アップとルーズ(引き)のカットを組み合わせ、物件の全体と注目ポイントを表現していきます。人物が登場しない演出の場合は、事前に収納部分のドアを空けておくことで、スムーズな物件紹介にこぎつけられるでしょう。また、動画視聴の邪魔にならない隅の位置に、紹介中の部屋名をテロップで表示し、紹介している場所を明確にすることもテクニックの一つです。もちろん、暗い部屋よりも明るい方が、良い印象を与えられることに加え、間取りが隅々まで見えるので部屋の広さも伝わりやすくなります。

 なお、動画撮影者が物件紹介も兼務するいわゆる「カメラマンリポート」スタイルの動画も可能ですが、内見をしたい立場でいえば、物件説明をする「演者」を仕立てた方が、実際に内覧しているイメージに近くなります。不動産は大きな買い物なので、即購入する購入希望者は少なく、熟慮を重ねたうえで購入に至るケースがほとんどです。そこで、動画を通してリアルな物件の状態やイメージを伝えることで、安心感を与えやすくなります。また、動画では、実際にその物件で暮らすイメージを伝えられるので、販売促進のツールとしても、期待が持てます。

 

活用は物件紹介にとどまらず…

これまで、主に物件紹介の側面から、動画活用の有用性について、お伝えしてきましたが、これ以外にも活用法はいくつかあります。
 採用動画などはその好例でしょう。これは不動産業界に限らず、さまざまな企業が実践しています。実際に社員が働く様子や社員のインタビューを通じて、求職者に働くイメージを伝えやすくなります。また、担当している物件を実写で紹介することで、求職者は、より明確に仕事のイメージがしやすくなります。企業側、求職者側ともにイメージギャップが大きく軽減できるので、離職の防止も期待できます。さらには、企業理念や事業内容を伝える会社紹介の動画にも応用が可能です。

 

動画活用の成否は制作会社への依頼から

これまで、お伝えしてきたように、不動産業界でも、さまざまな目的で動画の活用が期待されます。ただ、これを自社でやろうとすると、企業は様々な動画パターンに対する構成のノウハウや、沢山の動画を制作するために、時間と費用、場合によっては専門の常勤人材を確保しなくてはなりません。こうした分野こそ、機材や経験豊富な制作会社への依頼を検討してみてはいかがでしょうか。きっと、依頼主の目線に立った最適な動画制作を提案できると思います。自社の不動産や企業自体の価値を上げる動画で、他社よりも一歩先んじることが、業績アップの必要十分条件になるでしょう。
 

テキスト:ナインフィールド
ディレクター 北原 進也