親近感がポイント「インストア動画」

親近感がポイント「インストア動画」
2021年8月16日 ninefield

皆さんは「インストア動画」をご存じでしょうか。店頭など、オフラインの環境下で、客に商品やサービスの説明をわかりやすく伝えるための動画のことです。パンフレットやチラシ、POP広告といった紙媒体に比べて、より多くの情報を映像と音声で伝えることができます。かつては、ポータブルのテレビデオなどで、VHSで制作した素材をエンドレスで流したりしていましたが、現在は映像素材そのものがデジタル化し、伝える内容やターゲットによって、タブレットや大型画面といったさまざまなデバイスで、動画を再生するようになっています。今回は「インストア動画」の役割やメリット、さらには制作上の留意点などについて、探っていきます。



 

 



インストア動画の特徴と役割

先述の通り、「インストア動画」は、販売促進や商品の説明を目的に、店頭で流すオフラインの動画です。すでに購買意欲を持って、店舗を訪れている顧客に、大型画面でキャンペーンの告知をしたり、タブレット端末を使って、商品紹介をしたりするなど、目的や店舗の状況に応じて、活用法はさまざまです。来店した客に対し、動画を通して購買行動を促すことはもちろんですが、購入する商品を決めていない客にとっても、インストア動画が購入のきっかけとなることが期待できます。動画は視覚的・聴覚的に訴求力があるため、従来のPOP広告やポスターといった紙媒体よりも、俄然、注目度は高まります。店頭のセールス力の差は歴然と言えるでしょう。
 

インストア動画のメリットとデメリット

「インストア動画」のメリットは、何といっても、客の興味をひくことです。ただでさえ、店舗の内部には、商品やサービスに関する情報があふれていますから、チラシやポスターだけでは、新しい情報であっても埋もれてしまう恐れがあります。「インストア動画」であれば、映像や音声で客足を止めることができ、情報を的確に伝えられるでしょう。また、買い物中は話しかけられたくないという客にとっては、自分のタイミングで視聴することができるので、店側が伝えたい情報をしっかりと受け止めることが可能な点もメリットです。

逆に、他の商品がお目当ての客にとっては、目障りだったり、うるさかったりすることはデメリットといえます。また、動画を使って、具体的なイメージを伝えますので、商品に対して抱くイメージと動画で紹介されたイメージにギャップがある場合は、購買意欲を減退させるリスクもあるでしょう。こうしたメリット・デメリットを念頭に置いた上で動画制作のコンセプトを考えることが大切です。

 

インストア動画の活用シーン

こうしたメリットやデメリットを踏まえた上で、具体的な活用シーンに踏み込んでみましょう。先述の通り「インストア動画」は、商品の特徴や使い方を店頭で説明する際のPOPとして活用できる他、キャンペーンや企業の告知といったフィールドへも応用できます。面積が大きいサイネージを店舗の入り口に置いて、人目を引くように演出を工夫すれば、店内誘導への効果は絶大です。

まず、大切なのは「店舗に合わせたテイスト」を考えることです。「インストア動画」は少なからず店舗の空間を支配しますので、動画を空間の一部と考えて、店舗の雰囲気やイメージに合わせたものを制作することが重要です。よく、広告効果を狙って目立つことばかりに意識が向きがちですが、そんな動画ほど、店舗の雰囲気をぶち壊しにしてしまい、かえって逆効果になりかねません。店舗の内装で使用されている色に配慮したり、ディスプレイの配置をどこにしたりするかを十分に考えましょう。店の雰囲気がポップなら、動画の演出も明るめで、楽しそうなものにする必要がありますし、逆に上品な雰囲気なら、色や音声を抑え気味にまとめた方が効果的です。

「店舗に合わせたテイスト」の方向性が決まったら、演出面の構成に移ります。通常、店舗にいる客は買い物に忙しいので、動画視聴のためだけに、買い物の手を休めることは、まずありません。従って、客に動画を視聴してもらうよう仕向けるには、ストーリー性やテンポの良さが生命線といえます。例えば、動画の冒頭で興味を引く表現を使うなど、買い物に夢中な客が、思わず立ち止まって動画の続きを見たくなるような演出を心掛けましょう。当然、ナレーションや音楽、効果音など、音声も効果的に活用し、買い物を妨げないようにしながら、動画へ注意を向けさせる演出がポイントになってきます。もちろん、立ち止まらせた後、続きを見てもらえるような内容にすることは論を俟ちません。また、動画のターゲットを具体的に想定し、呼びかける内容を含めると、商品に対する関心が高まるので、購入に結び付きやすくなります。難しい説明になりがちな要素をできるだけ「親近感」がわくように制作する事も「インストア動画」の制作には不可欠です。

 

短時間でわかりやすくまとめる

動画を制作する上で、ストーリーのわかりやすさは大切です。インパクト重視で目立たせることだけに注力し過ぎると、目を引くことは出来ても、的確に情報を伝えられない可能性が高まるので避けるべきです。また、動画の内容が視聴者に伝わるかは、字幕の視認性や可読性、さらには視認秒数なども影響してきます。多くの要素を入れ込もうとすると再生時間が長くなり、立った状態で視聴している客を疲れさせてしまいます。最後まで視聴してもらわないと商品の特徴やメリットを正しく伝えることができないことも問題ですし、情報の範囲が広すぎると結果的に散漫な印象しか残らず、購入に直結させる訴求力が弱まります。ですから「インストア動画」はポイントを押さえ「わかりやすさ」を優先して数分間程度にまとめるのが無難といえます。そのためには、店内での客の動きも含め、あらゆる角度から検討を重ねることが大切です。
 

見落としがちなモニターサイズ

これはプロでも意外に見落としがちですが、「インストア動画」の場合、再生するモニターも縦長や正方形、非常に小さいものなど、さまざまな形とサイズがあります。ですから、YouTubeやテレビなどで見慣れた16:9横長サイズの動画が、必ずしも適さない場合も考えなくてはいけません。効果的な「インストア動画」の構成を考えるには、動画を再生するモニターを先に決め、それに合わせて動画のアスペクト比も決めると、作業がしやすくなります。
 

プロへの依頼も選択肢に

お店の雰囲気やテイストに合った動画を制作することが、「インストア動画」を制作する際の大きなポイントとなりますが、これがなかなか一般人には難関です。制作経験のない場合が殆どですから、どんな動画が効果的なのか、まさに暗中模索のスタートになるでしょう。こんな場合は、プロの力を借りると、俄然、心強くなります。制作実績や経験が豊富ですから、様々なアイデアを加味した上で、店舗の雰囲気を大きく変えられるような、それでいて、「親近感」がわく、クオリティの高い作品が期待できるでしょう。プランから納品まで一括で依頼できますから、店側が高価な撮影機材や編集ソフトを揃える必要もありません。「インストア動画」を戦略的に利用し、店舗のセールス力を高めるには、プロへの依頼はまさに「最有力な選択肢」と言えるのではないでしょうか。
 

テキスト:ナインフィールド
ディレクター 北原 進也