コロナ禍で注目を浴びるライブ配信

コロナ禍で注目を浴びるライブ配信
2020年7月27日 ninefield


コロナ禍で「ステイホーム」が日常化する中、テレビやラジオの仕事が激減して、You tubeへ進出する芸能人を筆頭に、スマートフォンやパソコンで「ライブ動画」の配信に取り組む人が増えています。さらに「ステイホーム」の日常化は、「BtoB」と呼ばれる企業間取引の世界にも大きな影響を及ぼしています。リアルな場での集会や対面営業の機会が限定される中、ライブ配信は有力な販売ツールとして、脚光を浴びていますが、その一方で、これからライブ配信に乗り出そうという方の中には「どこから手をつけていいのかわからない」という人も多いと思います。また、トラブルやクレームなど、不測のアクシデントへの対処など、不安な面も頭をもたげるでしょう。そこでここでは、企業としてライブ配信導入のメリットや、外部へ発注する場合の業者選定の基準などについて、考察します。



 

 



eコマース時代のライブ配信

ライブ配信を企業間取引に導入するメリットは、なんといっても視聴者との距離が縮まり、親近感が生まれることです。例えば商品の開発担当者が、「実はこの部分の形をかっこよく見せることにすごく腐心しました」と言えば、視聴者は開発者たちの製品開発に関する思いに触れることができるだけでなく、コメントで自分の思いを直接、リアルタイムで伝えられますし、そのコメントを見た担当者が、その場ですぐ返礼すれば、視聴者も喜びます。双方のコミュニケーションが密になることで、視聴者はその番組に感情移入しやすくなり、その商品やサービス、企業そのものに親しみを持ちやすくなることが期待できます。

さらに、収録番組の配信には、マイナス要素をカットした編集が入るため、商品の本当の姿の訴求に課題が残りますが、ライブ配信だと、視聴者のリアルタイムの要望に応えることができ、細かい部分まで的確に伝えることができます。商品の使い勝手はもちろん、場合によっては、紹介している人がその商品を本当に気に入っているかどうかまで伝わってしまうかもしれませんが、これもリアルタイムならではの醍醐味と言えるでしょう。視聴者がどんなことを知りたいのか、どういう場面を見たいのか、視聴者の気持ちになって企業側が考えてから動画をつくるのは時間もかかりますが、ライブ配信であれば要望を聞いて、すぐ応えることができます。

企業が新製品や新サービスを発表する記者発表会などは、テレビで生中継されることはほとんどありません。しかし、ライブ配信であれば。情報解禁に合わせて新製品の発表会の模様をリアルタイムで配信できますので、その情報に興味のある人たちが多く集まるでしょう。こうした人たちに配信と同時にアンケートを仕掛けて、反応を見ながら、セールスを展開することも可能です。
また、生配信で編集作業が無いので、コンテンツづくりに時間を取られず、番組の量産が可能なことも、大きなセールスポイントです。

 

社内イントラネットを使ったライブ配信

もちろん、ライブ配信は対外的な配信だけではなく、大規模な企業の内部で使う場合にも大きな効果を発揮します。例を挙げると、新人(中途入社)向けのオリエンテーションや
技術・営業・コンプライアンスといった各種研修、著名人を招いての講演会など、実際の会場では収容人員不足だったり、拠点が国内外に散らばっていて、全従業員を一堂に集めることが難しい場合に効果絶大です。このほかにも株主総会をはじめとする各種の社内イベントやインフォメーションの中継、営業ツール並びにマニュアルの共有などにも役立ちます。メッセージをダイレクトに話すので、書類だけの伝達に比べて、発信者の表情、声のトーン、動きなど、細かなニュアンスや思いなども伝わりやすくなります。一体感不足は双方向通信の充実でリカバリーが可能ですし、当然、録画できるので、「見逃し配信」にも使えます。こうしたインフラの普及は、出張が不要になるケースの増加につながり、社員の教育費をはじめ、人的にも時間的にも、そして物理的にもコストが劇的に削減できます。

 

社員だけでも可能だが…

「ライブ配信」は企業の広報人材だけでも「ある程度」はできますが、やはり「eコマース」や「対外的な配信」の場合、トラブルは許されず、機材の面でもプロとアマチュア差は歴然なことから、より確実性を狙うなら、やはり、外部の専門業者に依頼するのが、ベストです。例えば人物のワンショットのみ、1時間も見せられたのでは、視聴者が飽きてしまって、せっかくの貴重な講演も効果減の憂き目に遭いますし、商品発表会の場合も、細かいカメラワークやスイッチングは、やはりプロに「一日」ならぬ「数年以上」の長があります。高価な配信機材を自前で揃えられる優良企業は別にして、ほとんどの企業は家庭用のビデオカメラかスマートフォンで撮影し、音声も内蔵マイクで収録しているのが実情でしょう。こうした業務をワンストップで外部委託できれば、クオリティの大幅アップはもちろん、外部委託で「浮いた」戦力を、手薄な他部署へ回すことも可能になります。

意外に見落としがちなことですが、プロとアマチュアの違いの一つは、現場でトラブルが起きた場合の対応にあります。プロの場合、いざという時の引き出しとして、「二の矢」「三の矢」を常に用意し、不測の事態に備えていますし、そもそも念入りに事前準備をするので、ネット環境さえ満足なら、配信不能になることはまず、ありません。また「録画」した素材として、再使用する場合でも、字幕やMAといったオーソドックスな加工をはじめ、CGやVFX、SFXといった特殊な効果を後から挿入することにも難はありません。
業界標準とされるAvidやFinal Cutといった編集ソフトは、多機能ですが、一本の動画を完成させる技術を習得するのに、最低でも数か月かかりますし、生中継に置き換えても、字幕や特殊効果を入れられるソフトの習熟には時間が必要です。一般企業で実現するには、高価な機材を購入した上に、ソフト習得に特化した社員の教育が必要で、かえって高コストになります。こうしたノウハウは、やはり放送業界や映画業界などで、スポーツをはじめとする生中継の経験を積んでいないと、なかなか得られません。

 

「餅は餅屋」~プロのノウハウを最大限活用しよう

この他にも、社内向けの動画配信を行う際は、社外に漏らしてはいけない機密情報が含まれていることもあるため、注意が必要です。セキュリティを高めるためには、アクセスできるIPアドレスの制限や、ワンタイムURLの活用などの対策が考えられますが、こうしたケアも経験豊富な外部委託にすれば、ワンストップで解決できます。「餅は餅屋」という諺通り、やはり熟練の専門家集団を揃える業者へ依頼した方が、「素人だけで運営する」のに比べ、安心感は格段に高まります。セールスの手段としてはもちろん、社内イベントや各種研修など、様々なシーンで活躍が期待される「ライブ配信」の今後。より充実した内容で視聴者へ有益な情報を送り、社の業績向上につなげるためにも、ここは「餅屋に任せる」決断が勝機ありと言えそうです。

 

テキスト:ナインフィールド
ディレクター 内山 勇樹